【プロローグ】

 

フクモリ」のカトラリー決めをしている時、一番困ったのがお箸と箸置きだった。なぜかと言うと、このセットが“好き”だから。なぜか知らないけれど箸置きが無いと落ち着かないし、中途半端な箸(完全に主観の)を見ると機嫌が悪くなる(ほんとに勝手です)。

家では必ず箸置きを使います。そしてこれまた単なる我が儘だと自覚してますが、世の中には素敵な箸置きが、残念ながら少ない…。はい、よく人に言われます。「箸置き…って無くてもよくナイ?」ハイ、確かに。無くても実際そんなに困りませんよね。でも困るとか困らないとかそういった問題じゃあないんですよね、コレが。

 

って完全に前置きが長くなりましたが、そんなわけでフクモリで使う箸置きを探し求めていた4月の初旬。しかしながら素敵なモノ=高価、という確率は箸置きの世界も同じで…でもそんな予算は当然のことながら無い。でもでもっ、「寂しいからこの人でいっか♪」みたいなノリ(とか言えたことないけど)で“箸置き”を決めることは当然ながらできない。その小さな佇まいから放つ唯一無二の完全なる“箸置きオーラ”を知りながらそんなことは出来ないのだ。

どうしよう…そう思い悩みながらお店を転々としているうちに、とうとう日は暮れてしまった。

 

イメージです。 photo by kevingessner
イメージです。    photo by kevingessner

 

 

 

【出会い】

 

箸置き探しをしていたものの、良いものが見つからずにがっかりしていたカトラリー担当班の幸子は、肩を落としながらもモリモリ夕食を食べた後、外苑前のofficeに向かった。その日は偶然にも月イチでBEAMS青野賢一さんがDJを担当している日で、じゃあofficeで一杯ビールでも飲んでから帰ろうか、なんて事になったのだ。officeに着くと、いつも通りの我らがファッションリーダー青野賢一氏はストライプのスーツ姿にセンタークリースのハットを被り、うつろな瞳でビールを飲んでいた。私たちは早速何の断りも無く向かい側の席に座り、今日の出来事を話しだした。

私:「でね、結局良い箸置きが見つからなくて…。知り合いで陶芸とかやってる人が居れば良かったのになぁ〜、やっぱり手作りのものっていいじゃないですかぁ〜。」

青野:「あ、いるよ、そこに。」

彼が指差した先に居たのは、その日、青野さんと交代でDJをしていた中上修作さん。

DJブースの中で選曲の真っ最中だった中上さんは、ブルーのワークキャップにいかにも着心地の良さそうなリネンシャツという出で立ち。そしてまぁ当たり前だがどう見ても『DJ』。私は思わず「青野さん…今までの私たちの話、聞いてました?」と突っ込みたくなったのだが、本人に話を聞くとどうやら本当に陶芸をしているらしい。そこから話はトントン拍子に進み…真面目な中上さんは、直ぐにoffice内にあった備え付けのメモ帳を有効活用して、箸置きの特徴や納期、予算、お店で使う食器の色やかたち、お店の雰囲気、その他重要と思われる情報を手早く質問&メモり、あっという間に商談成立!

ちなみに中上さんは、普段は音響関係の会社に勤めていながらも、週末は趣味の陶芸やDJをしているという何とも多趣味多才なうえに、双子の兄弟で「弟」さんだという情報まで入手した。そんなわけで第一印象は完全に「DJナカガミ」だった中上さんに、私たちはフクモリの箸置きを依頼することになった。そしてその翌日には箸置きの形などをメールで提案して頂き、それを見た私と幸子はほっと一安心!

『手作り箸置き』の誕生を楽しみに待つことになったのです。